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カーテンネタ

夏。
日当たりの良いカイジの部屋は、昼間は気温が上がる。窓を開けても外の気温とさして変わらないため、あまり意味がない。そして、扇風機もない。カイジの部屋には手動で風を起こす団扇しかないのだ。しかも、風通りは良くないため、夜になっても暑い。
カーテンが無いのも原因の一つだ。
せめて日除けのカーテンさえあれば…と常々思ってはいるのだが、バイト代は生活費に回る為余裕がなかった。
今までは我慢すれば済む話…と流していたが、同居人が増えた今はそうもいかないらしい。

「ねえカイジさん、何でカーテン無いの?」
「…簡潔に言う。金がない」
「そこまで言い切ると、いっそ清々しい…わかった、買いに行こう」
「だから、金がないっての」
「そんなの、稼げばいいんでしょ?」

アカギは簡単に言うが、カイジには信じられなかった。
その金を稼ぐために苦労してバイトしているのだ。

「簡単に言うけどな…金を稼ぐことがどれほど大変な事だか、わかってんのか?」
「稼ぐって大変な事なの?」
「お前…」

カイジは、へなへなとその場に崩れ落ちた。

(いやまてよ…考えてみれば、しげるはモンスターなんだよな…ってことは、あいつらに捕まる前は野生だった訳だ…野草とか食ってたのか?草食には見えなくもないが…肉食?寧ろ雑食っぽいな…じゃなくて、しげるにとって金は必要なかった訳だし…いやでも、あいつら見るからにヤクザだし…金は知ってても稼ぐ事は知らない…)
「(行って見せた方が早いかな…?)カイジさん、出掛けよう」
「え、どこに?」
「雀荘」
「…はあ!?」
「良いから付いてきてよ。で、見てて」

そうしてしげるはカイジを雀荘に引っ張って行く。カイジの家から一番近い雀荘に行くと、早速しげるは麻雀を始めた。
そして、ものの数十分で稼いだ。いや、毟ったと言った方が正しいかもしれない。だが、それだけでは足りないようだ…。

「倍プッシュだ」

その言葉には対戦相手だけでなくカイジも驚いた。

「……!もう良いから、帰るぞ!」

これ以上は居たたまれないとばかりに足早に雀荘を出るカイジ。しげるは毟った金を掴むと、置いて行かれないように急いで外に出た。

「…もうちょっと毟れたんだけどな、残念」
「お前な…!」
「とりあえず、これだけあればカーテン買える?」
「…そうだな、充分だ(何だか疲れた…)」

家具店に向かう道すがら、微笑ましい?会話を交わす二人。

「カーテン代の残りはカイジさん使ってね」
「…いやいや、気持ちは嬉しいけどよ、これはしげるが稼いだ金だろ?」
「これから俺はカイジさんに世話になるわけだし。家賃だと思えば良い。それに、いつでも稼げるし。第一、ギリギリ一人暮らし出来る稼ぎで、これから俺と暮らしていけるなんて思ってないよね」
「(…最後ら辺は何か刺さったな)そうか、それじゃ有り難く貰っとく」

ようやく店に着くと、薄いカーテンと遮光カーテンを購入。薄い方は、あいつらはでかい組織だから下っ端にカイジさんを見張らせるのも簡単に出来るよ…と言うしげるの助言で追加した物だ。外から覗かれるのはあまり良い気はしない。
家に帰って早速カーテンを取り付けた。
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