モノクローム 短編 2014年02月23日 "モノクローム"の二人はとある場所を目指していた。森の奥深くにある"そこ"に行くには、モンスターが出る道を進まなければならず、"そこ"を知ってる者以外は近付かない。それゆえ"そこ"は安全な場所なのだ。舗装されていない、踏み固められただけの道をただ進んで行く二人。街を出て約二日、やっと二人は目的地に着いた。最低限切り開かれたその場所にある建物こそ、二人が目指していた場所…孤児院である。この世界では異なる種族間の子供…所謂ハーフは、何かと標的になる。異種族で結ばれることはあっても、子供の産まれる確率は非常に低い。よってハーフは非常に稀なのである。そんな子供達が最後にたどり着くのが、ここなのだ。彼ら"モノクローム"もこの孤児院で育った。昼前のこの時間なら…と、二人は裏手に回る。そこに居た、洗濯物を干している青年は、孤児院の院長を勤めているアキラ。周りには子ども達が何人か居て、アキラを手伝っている。シエラが手を振ると、アキラがこちらに気付いて手を振り返す。シエラ「院長先生、久しぶり」アキラ「お帰り。元気だったかい?」シエラ「うん、相変わらずだよ」セツキ「あ、今はセツキな」アキラ「ふうん、セツキ…か。良い響きだね」セツキ「だろ?ところで、先に中入って良いか?今回はさすがに疲れた」アキラ「その前に昼ご飯の材料を採ってきて貰おうかな。二人の腕ならすぐだろう?」シエラ「良いけど、そんなに大変な場所なの?」アキラ「まあ、行ってみればわかるよ。ついでにこの子達も一緒に連れて行ってね」アキラがそう言うと、子ども達は嬉しそうに声を上げた。孤児院は安全な場所に有るが、一歩踏み出せば危ない所だ。食料を採りにいく上でそう言った危険が最小限になるよう、昔から裏庭には小さな菜園がある。近くには小川も流れているため、孤児院の周りで事足りるようにはなっている。だが、子ども達からすれば、森は探検したい場所である。アキラの意図に気付いた二人は、苦笑混じりに頷いた。セツキ「森の中のモンスターより、シエラの方が危ないだろ」シエラ「あたしはセツキの方が危ないと思うけど?」アキラ「どっちもモンスターより強いって事なんでしょ?なら子ども達は安全だね。良いから行っておいで」子ども達「「先生、行ってきまーす」」いつの間にか、孤児院の中にいた子までいる。子ども達の行動力に苦笑しながら、モノクロームの二人はアキラから頼まれた、子ども達を森で遊ばせるというクエストを遂行するために出発した。 PR